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会社法

第6回:分配可能額の算定(1)

2011.03.01
新日本有限責任監査法人 公認会計士 江村羊奈子
新日本有限責任監査法人 公認会計士 友行貴久

会社法では、株主に対する金銭等の分配および自己株式の有償取得を合わせて剰余金の配当等とし、統一的に財源規制をかけるものとされています(会461)。これに伴い、剰余金の分配可能額の算定方法も明確にされています。

1. 分配可能額の算定方法

分配可能額の算定は、以下の3ステップを踏むことになります。

まず、決算日における剰余金の額を算定します。

次に、決算日以降分配時点までの剰余金の増減を反映させ、分配時点の剰余金の額を算定します。

最後に分配時点の剰余金の額から自己株式の帳簿価額および期中の自己株式の処分価額等を差し引いて分配可能額を算定します。

分配可能額の算定方法

(1)期末日における剰余金の額の算定

期末日における剰余金の額の算定

剰余金の額(その他資本剰余金の額+その他利益剰余金の額)会社法446 1号(資産の額(イ)+自己株式の帳簿価額(ロ)-負債の額(ハ)-資本金・準備金(ニ))-法務省令(イ+ロ-ハ-ニ-その他資本剰余金の額-その他利益剰余金の額)

∴結局、残るのは剰余金の額(その他資本剰余金の額+その他利益剰余金の額)のみ

まず、事業年度末日の剰余金計算を行います(会446 1号)。事業年度末日の剰余金の額は資産の額に自己株式の帳簿価額を加え、負債の額と資本金および準備金の額、その他法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額を控除することにより算定されます。

その他法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額は会社計算規則149条で規定されています。その内容は上図の吹き出しに記載のとおりであり、計算すると結果的にその他資本剰余金の額およびその他利益剰余金の額の合計額が剰余金の額として残ることとなります。

(2)分配時点における剰余金の額の算定

分配時点における剰余金の額の算定

次に、分配時点の剰余金の額を算定します(会446 2~7号)。

会社法では期中の剰余金の変動を随時反映させるため、期中の変動要因として、事業年度の末日後の自己株式の処分損益、資本金・準備金の減少、自己株式の消却額、剰余金の配当、その他法務省令で定める額が加減されます。

(3)分配可能利益の算定

分配可能利益の算定

最後に分配可能利益を計算します。ここでは分配時点の剰余金の額から分配時点における自己株式の帳簿価額と、事業年度末日後に自己株式を処分した場合の処分価額その他法務省令で定める額を減じて分配可能利益を算定します。

その他有価証券評価差額金および土地再評価差額金は、プラス残高(評価差益)である場合には分配可能利益に含まれませんが、マイナス残高(評価差損)である場合には分配可能額から控除します。これらの評価差額金は損益に計上されておらず、剰余金を構成するものではありませんが、マイナス残高については会社の財産の減少を示すものであるため、分配可能額から控除すべきものと定められていると考えられます。

分配時点の剰余金の額の算定においては、いったん自己株式の処分差損益を反映させました((2)参照)が、分配可能額を算定するに当たっては、剰余金の額から自己株式の帳簿価額および自己株式の処分価額を差し引くことにより、分配可能利益の算定には自己株式の処分差損益を反映させないこととなります。

このような取り扱いの差は事業年度の末日後の自己株式の処分損益が株主総会等の承認により確定されていないことに起因すると考えられます。

また、分配時における剰余金には、最終事業年度の末日から分配時点までの期間損益は含まれません。しかし、臨時計算書類(会441 I)を作成し、株主総会等で承認を受けた場合は、臨時決算日の属する事業年度の初日から臨時決算日までの期間における利益とその期間における自己株式の処分対価を分配可能額に加算することができます(会461 II 2号)。臨時決算に関する自己株式の処分については事業年度末日後の取得と異なり臨時決算書が株主総会等により承認されているために分配可能額に含められています。

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