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設例で解説 「キャッシュ・フロー計算書」

第4回:財務活動によるキャッシュ・フロー

2015.12.08
新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸正典
新日本有限責任監査法人 公認会計士 七海健太郎

1. はじめに

設例で解説「キャッシュ・フロー計算書」も今回が最終回となりますが、「第4回 財務活動によるキャッシュ・フロー」では、財務活動によるキャッシュ・フローについて、設例を使って解説していきます。

2. 財務活動によるキャッシュ・フローの意義

投資活動によるキャッシュ・フロー区分
【ポイント】
  • 財務活動によるキャッシュ・フローには、資金の調達及び返済などの財務活動に関係するキャッシュ・フローの情報を記載します。

財務活動によるキャッシュ・フローには、資金の調達及び返済によるキャッシュ・フローが記載されます。資金の調達には新規の借り入れや借り換え、社債の発行、新株の発行などが含まれ、資金の返済には借り入れの返済や社債の償還、株主への配当金の支払いなどが含まれます。
財務活動によるキャッシュ・フローは、営業活動及び投資活動を維持するために、資金をどのように調達して、返済したかを示す情報です。例えば、成長過程にある企業が、自己資金以上の投資を積極的に行っている場合、多額の資金調達を行うため、財務活動による正味のキャッシュ・フローがプラスになる傾向があります。

3. 借入金・社債による資金調達と返済に関する設例

【ポイント】
  • 借入金や社債により資金調達を行った場合、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、それぞれ「(長期・短期)借入れによる収入」および「社債の発行による収入」等の科目によって表示します。
  • 借入金や社債の返済を行った場合、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、それぞれ「(長期・短期)借入金の返済による支出」および「社債の償還による支出」等の科目によって表示します。

【設例7】
(前提条件)

  • 長期借入金
    期首残高:1,500、当期借入:2,000、当期返済:1,000、期末残高:2,500
  • 社債
    期首残高:500、当期発行:1,000、当期償還:500、期末残高:1,000
  • 未払利息
    期首残高:30、当期計上:50、当期支払:60、期末残高:20

(下の図をクリックすると拡大します)

【設例7】(前提条件)T字勘定とキャッシュ・フロー精算表

借入金・社債により資金調達を行った場合、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、それぞれ「(長期・短期)借入による収入」および「社債の発行による収入」等の科目によって表示します。借入金・社債に係る利息についても、第1法を採用している場合(第2回【設例4】参照)、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、「利息の支払額」の科目によって表示します。なお、社債発行費等に重要性がある場合は、資金調達額から社債発行費等を控除した実質手取額で表示します。社債発行費等に重要性がない場合は、それぞれのキャッシュ・フローを総額で表示することもできます(連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針第40項)。

  • ※1,3長期借入金・社債による資金調達額を、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、それぞれ長期借入による収入2,000および社債の発行による収入 1,000として記載します。
  • ※2,4長期借入金の返済額と社債の償還額を、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、それぞれ長期借入金の返済による支出1,000および社債の償還による支出500として記載します。
  • ※5,6財務活動に関する費用である長期借入金・社債に係る利息が発生しているため、損益計算書に計上されている支払利息50を「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分においてプラスするとともに、未払利息の調整を行ったうえで、実際の支払額を「営業活動によるキャッシュ・フロー」区分の小計欄の下に利息の支払額60(50+30-20)として記載します。第2回【設例4】参照。

(仕訳イメージ)

<長期借入>

長期借入

<長期借入金の返済>

長期借入金の返済

<社債の発行>

社債の発行

<社債の償還>

社債の償還

<支払利息>

支払利息

4. 株式の発行による資金調達と自己株式の取得と処分に関する設例

【ポイント】
  • 株式の発行により資金調達を行った場合、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、「株式の発行による収入」等の科目によって表示します。
  • 自己株式を取得および売却した場合、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、それぞれ「自己株式の取得による支出」および「自己株式の売却による収入」等の科目によって表示します。

【設例8】
(前提条件)

  • 資本金
    期首残高:3,000、株式発行:1,000、期末残高:4,000
  • 自己株式
    期首残高:500、取得:350、売却:400(売却価額500)、期末残高:300
  • 自己株式処分差益
    期首残高:150、当期発生:100、期末残高:250

(下の図をクリックすると拡大します)

【設例8】(前提条件)T字勘定とキャッシュ・フロー精算表

株式の発行により資金調達を行った場合、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、「株式の発行による収入」等の科目によって表示します。なお、社債における社債発行費等と同様に、株式発行費に重要性がある場合は、資金調達額から株式発行費を控除した実質手取額で表示します。株式発行費に重要性がない場合は、それぞれのキャッシュ・フローを総額で表示することができるのも同様です。
また、自己株式を取得および売却した場合、「財務によるキャッシュ・フロー」の区分において、それぞれ「自己株式の取得による支出」および「自己株式の売却による収入」等の科目によって表示します。

  • ※1株式の発行により資金調達した1,000を「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、「株式の発行による収入」として記載します。
  • ※2「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、自己株式の取得に要した支出額350を、「自己株式の取得による支出」として記載します。
  • ※3「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分において、自己株式の売却価額500を、「自己株式の売却による収入」として記載します。なお、「自己株式処分差益」は、損益としては認識されず、貸借対照表の純資産の部に直接計上されるため、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分での損益の調整は不要となります。

(仕訳イメージ)

<株式の発行>

株式の発行

<自己株式の取得>

自己株式の取得

<自己株式の売却>

自己株式の売却

設例で解説 「キャッシュ・フロー計算書」



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