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キャッシュ・フロー計算書

第3回:資金の範囲と注記

2010.09.15
新日本有限責任監査法人 公認会計士 七海健太郎

5. キャッシュ・フロー計算書の資金の範囲について

キャッシュ・フロー計算書では、対象とする資金の範囲を現金(手許現金および要求払い預金)および現金同等物とされます。資金の範囲は、毎期継続して適用し、みだりに変更してはなりません。資金の範囲を変更した場合には、会計処理の原則および手続きの変更に当たり、その旨、その理由および影響額を記載しなければなりません。

①現金

現金とは、手許現金および要求払預金をいいます。要求払預金には、例えば、当座預金、普通預金、通知預金等の、預金者が事前の通知なしまたは数日前の通知で払い戻し請求ができる期限の定めのない預金をいいます。(同作成基準注解(注1))

②現金同等物

現金同等物とは、a)容易に換金可能であり、かつ、b)価値の変動について僅少(きんしょう)なリスクしか負わない短期投資をいいます。現金同等物には、例えば、取得日から満期日または償還日までの期間が3カ月以内の短期投資である定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパー、売戻し条件付現先、公社債投資信託が含まれます。(同作成基準注解(注2))

現金同等物は、上記のa)およびb)の両条件を満たす必要があり、市場性のある株式のようにa)換金が容易であっても、b)価値変動リスクが僅少、とはいえないものについては、現金同等物には含まれません。

また、担保に提供されている定期預金や、引き出しが制限されているような預金などは、取得日から満期日または償還日までの期間が3カ月であっても、実質的にa)換金が容易と考えられず、現金同等物には含められません。

現金の例示

  • 手許現金
  • 要求払い預金
    普通預金、通知預金、当座預金

現金同等物の例示

  • 定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパー、現先、公社債投資信託

※要求払い預金:
預入期間の定めがない普通預金、通知預金および当座預金
定期預金は預入期間の定めがありますから、要求払い預金には該当しません。

 現金同等物:
価格の変動がわずかで、元本がほぼ保証される短期的な投資

 短期投資:
取得した日から満期日または償還までが3カ月以内のものに限定

 譲渡性預金:
銀行が発行する無記名の預金証書

 コマーシャル・ペーパー:
会社が短期の資金調達のために発行する手形

6カ月定期預金など預入期間が3カ月を超えるものや、株式などの価格変動リスクのあるものは該当しません。
また、6カ月定期預金が3カ月以上経過し、満期日が3カ月以内になっても当初の設定期間が3カ月を超える定期預金は現金同等物には該当しません。

6.注記事項

キャッシュ・フロー計算書の注記事項は、以下のとおりです。

  • 資金の範囲に含めた現金および現金同等物の内容ならびにその期末残高の連結貸借対照表科目別の内訳

    現金同等物として具体的に何を含めるかについては、各企業の資金管理活動により異なると考えられており、経営者の判断に委ねられることになっています。このため、資金の範囲に含めた現金および現金同等物の内容について、会計方針に記載することが求められています。
    また、貸借対照表上の現金および預金、有価証券勘定とキャッシュ・フロー計算書上の現金同等物は、必ずしも一致しないことから、連結キャッシュ・フロー計算書の注記において、両者の関連性を明確にすることになっています。

  • 資金の範囲を変更した場合には、その旨、その理由および影響額

  • 株式の取得または売却により新たに連結子会社となった会社の資産・負債または連結子会社でなくなった会社の資産・負債に重要性がある場合には、当該資産・負債の主な内訳

    連結の範囲の変動を伴う子会社株式の取得または売却に係るキャッシュ・フローは、「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に独立の項目として記載します。子会社株式の取得(売却)にかかるキャッシュ・フローは、株式の取得による支出額から連結子会社になった会社の現金および現金同等物を差し引いて算定します。注記において、株式の取得により新たに連結子会社となった会社の資産および負債の内訳と、その取得のための支出との関係を記載します。
    なお、非連結子会社の重要性が増したため、新規に連結することとした場合、新規連結会社の現金および現金同等物は「投資活動によるキャッシュ・フロー」ではなく、「新規連結子会社の現金及び現金同等物の期首残高」などとして記載します。

  • 営業の譲受または譲渡により増減した資産・負債に重要性がある場合には、当該資産・負債の主な内訳

    営業譲受(譲渡)に係るキャッシュ・フローも、「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に独立の項目として記載します。

  • 重要な非資金取引

    以下は、重要な非資金取引の例示です。
    1. 1. 転換社債の転換
    2. 2. ファイナンス・リースによる資産の取得
    3. 3. 株式の発行による資産の取得または合併
    4. 4. 現物出資による株式の取得または資産の交換

  • 各表示区分の記載内容を変更した場合には、その内容

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