1.減損処理後の減価償却費の計上に関する基本的な考え方
減損処理を行った資産についても、減損損失を控除した後の帳簿価額を取得原価として減価償却を行います(減損会計基準 三 1および2)。従って、減損損失を控除した帳簿価額から残存価額を控除した金額を、企業が採用している減価償却の方法に従って、規則的、合理的に配分することになります(第134項および第135項)。
(1)残存価額と残存耐用年数の見直し
減損処理後の帳簿価額を取得原価として、減損処理後の減価償却が実施されることとなりますが、その計算要素として確認しなくてはならないのが残存価額と残存耐用年数の二つです。
残存価額 → 耐用年数到来時において予想される当該資産の正味売却価額(※1)
残存耐用年数 → 減損処理後の経済的残存使用年数
※1
減損処理の測定を行った際に、将来の売却価額を見積っているため、その金額を残存価額とします。つまり、減損損失の測定を行う際の将来における正味売却価額は、将来キャッシュフローの構成要素となるだけでなく、その後の減価償却計算における残存価額を同時に決定していることに留意してください。
また、固定資産台帳における残存耐用年数および残存価額は、
- ①両方とも見直す場合
- ②どちらか一方のみを見直す場合
- ③どちらも見直さない場合
の3通りが考えられます。私見ですが、減損処理後の減価償却の実施に際しては、残存耐用年数は見直さず、残存価額をゼロに修正する場合が多いのではないかと考えています。
(2)減価償却計算における留意点
- ①減損損失を計上した後の減価償却費は、減損損失を控除した帳簿価額を取得原価として行われること
- ②残存価額は耐用年数到来時において予想される当該資産の正味売却価額(おおむねゼロと推定される)とすること
- ③①の減損損失を控除した帳簿価額から、残存耐用年数および見直し後の残存価額を前提とする償却率で以後の減価償却を行うこと
2.開示
(1)貸借対照表上の表示
減損処理を行った資産の貸借対照表における表示は、次の3通りがあります。

<貸借対照表上の表示>
| (ア)直接控除方式 |
(イ)独立間接控除形式 |
(ウ)合算間接控除形式 |
| 建物 80 |
建物 300
減損損失累計額△120
減価償却累計額△100 80
|
建物 300
減損損失累計額および
減価償却累計額 △220 80
|
(2)損益計算書の注記
重要な減損損失を認識した場合には、損益計算書(特別損失)に係る注記事項として、以下の項目を注記します。
- ①減損損失を認識した資産または資産グループについては、その用途、種類、場所などの概要
- ②減損損失を認識するに至った経緯
- ③減損損失の金額および主な固定資産の種類ごとの当該金額の内訳
- ④資産グループがある場合には、当該資産グループに係る資産をグループ化した方法
- ⑤回収可能価額が正味売却価額の場合にはその旨および時価の算定方法、回収可能価額が使用価値の場合にはその旨および割引率
減損会計