減損会計 第2回:対象資産

2020年3月25日
カテゴリー 解説シリーズ

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸 聡
EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 武澤 玲子

1. 適用の対象は固定資産

減損会計基準の適用対象となる資産は固定資産であり、有形固定資産としては、土地、建物(本社、工場など)、機械装置、建設仮勘定などが対象となります。無形固定資産としては、のれんや借地権などが対象であり、投資その他の資産としては投資不動産や長期前払費用などが対象となります。

減損会計基準の対象資産

2. 他の基準に定めがある資産は適用対象外

減損会計基準の適用対象となる資産はすべての固定資産ですが、減損会計基準とは別の会計基準に減損処理に関する定めがある資産については、減損会計基準の適用対象外となります。減損会計基準の適用対象外となる資産は以下のとおりです。

①「金融商品に係る会計基準」における金融資産

②「税効果会計に係る会計基準」における繰延税金資産

③「研究開発費等に係る会計基準」において無形固定資産として計上されている市場販売目的のソフトウエア

④「退職給付に係る会計基準」における退職給付に係る資産(個別財務諸表上は前払年金費用)

また、長期前払利息など財務活動から生ずる損益に関する経過勘定項目も対象資産から除かれます。

3. 所有権移転外ファイナンス・リースは適用対象

「リース取引に関する会計基準」により、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、貸借対照表に計上されたリース資産だけでなく、借手が通常の賃貸借取引に準じて会計処理を行っている場合にも、他の固定資産と同様に、減損会計基準を適用することとなります。

4. 市場販売目的のソフトウエアと減損会計

2.③に記載のとおり、市場販売目的のソフトウエアは減損会計基準の適用対象外であり、研究開発費等に係る会計基準に基づき、未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、当該超過額は一時の費用または損失として処理することとされます。

この記事に関連するテーマ別一覧

減損会計

減損会計

企業会計ナビ

企業会計ナビ

会計・監査や経営にまつわる最新情報、解説記事などを発信しています。

一覧ページへ