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減損会計

第1回:減損会計の概要

2007.10.26
新日本有限責任監査法人 公認会計士 山岸聡
新日本有限責任監査法人 公認会計士 若林恒行

1.はじめに

平成14年8月に企業会計審議会より、固定資産の減損に係る会計基準(以下、減損会計基準)が、平成15年10月に企業会計基準委員会より、企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下、適用指針)が公表され、平成17年4月1日以後開始する事業年度から適用されています。

本解説シリーズでは「固定資産の減損に係る会計基準」の適用に当たっての留意事項を解説します。なお、文中の意見に関する部分は私見であることをお断り申し上げます。

2.減損会計の意義

固定資産の減損とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態であり、減損処理とは、そのような場合に一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理です。

減損損失を認識するかどうかの判定には、将来キャッシュフローを見積もる必要があります。企業にとって資産または資産グループがどれだけの経済的な価値を有しているかの算定を行うため、企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定および予測に基づいた将来キャッシュフローの見積りが要求されます。

3.減損会計の流れ

減損会計は、対象となるすべての固定資産について回収可能性を検討するわけではありません。減損の兆候が生じている資産または資産グループについて、回収可能性を検討し、減損を認識し、測定します。

<減損会計の流れ>

減損会計の流れ

(1)資産のグルーピング

減損会計では、減損損失の認識・測定を行う単位としての、資産グループを決定する必要があります。資産グループとは、ほかの資産グループのキャッシュフローから概ね独立したキャッシュフローを生み出す最小の単位です。

(2)減損の兆候

減損の兆候とは、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象のことで、「固定資産の減損に係る会計基準」では次の4つを例示しています。

  1. 資産または資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益またはキャッシュフローが継続して赤字となっているか、あるいは、継続して赤字となる見込みであること
  2. 資産または資産グループの使用されている範囲または方法について、当該資産または資産グループの回収可能価額を著しく低下させるような変化が生じたか、あるいは生ずる見込みであること
  3. 資産または資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したかまたは悪化する見込みであること
  4. 資産または資産グループの市場価格の下落

(3)減損損失の認識の判定

資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合に、減損損失を認識します。

(4)減損損失の測定

減損損失が認識された資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額(※)まで減額し、当該減少額を当期の損失として減損損失を認識します。

※回収可能価額
回収可能価額とは、資産または資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額をいいます。使用価値とは、資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュフローの現在価値です(「固定資産の減損に係る会計基準注解 注1」)。


減損会計

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