旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第17回 自分と向き合うことを恐れない

笠井 裕予
人生100時代を豊かに生きるサポートをするマネーキャリアプランナー
一般社団法人マネーキャリア協会 会長
(株)フィシャル代表取締役

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2018年8月1日号に掲載された記事をご紹介します。

最初は普通のOLを6年間していました。同僚は寿退社をする方が多かったですが、私はこのまま退職するよりもまだまだチャレンジしたい! という気持ちが強く、日々仕事に邁進していました。

30代前半で起業しましたが、気づけば3年ほどで借金が5,000万円にも膨れあがっていました。茫然としていたときに、恩人であるファイナンシャルプランナーの江上治氏に出会い、自己破産など地元の両親に顔向けできないことはしたくない、と自身での返済を決意。「きみのように、女性の多くは人生に向き合うことをしない。仕事に、本気で向き合おうとはしない。いつも逃げの姿勢だ。潜在的に、いざという時に結婚という逃げ場があると考えているからだ。だが、何かに依存しているうちは、いつまでも自立できない」という江上氏の言葉を受け、逃げ道をすべて閉ざして朝の7時から夜の0時まで仕事に明け暮れました。何か得ようと思えば、代償が必要なのです。

江上氏は言い方がきつく、怒鳴られたことも数知れず・・・やめたいと何回も思いましたが、逃げたくないという気持ちのほうが強く、ひたすら目の前の仕事に食らいつきました。もし、そこで逃げていたら、今の自分はありません。

このようななか、江上氏が怒鳴りながらも自分を育てあげてきた理由をはじめて知り、自分の意識や考えが変わりました。今の状況がずっと続くわけではないのだから、今を大切にしようと思えるようになったのです。

そんなある日、マネーセミナーで講師をしてほしい、との依頼が寄せられ、来た仕事はやるしかないと思い挑戦してみると、それが大好評。また是非やってほしい、という声が多く、現在でも自分の仕事となっています。

さらに、ひょんなことから自著を出版する機会にも恵まれました。執筆に取り組むなかで、どんな経験も価値観によって捉え方が変わるのだと気づいたとき、暗闇に一筋の光が差し込みました。何で人生が変わるのか、どんな転機が訪れるのかは誰にもわかりません。自著を通じてあらためて過去は自分の原点であると再認識することができました。

私がみなさんに伝えたいことは、大きく2つあります。まず、仕事を好き嫌いで選ばないこと。やりたいことであってもすぐにはできなかったり、自分には向いていなかったりすることもあります。本当にやりたいことであれば、修行の時間が必要なのです。

次に、人生計画をたてること。お金に振り回されるのではなく、どのような人生を過ごしたいのか、それにはどのようなマネープランが必要なのかを考えましょう。

これからの人生100年時代では、仕事=人生であり、スキルを磨き続けながら自分らしく働き続けることが大切だと思います。私も、これからできることを増やしていき、60歳くらいで自分らしい仕事ができていればいいな、と願っています。

(「旬刊経理情報」2018年8月1日号より)

笠井 裕予(かさい・ひろよ)
人生100時代を豊かに生きるサポートをするマネーキャリアプランナー
一般社団法人マネーキャリア協会 会長
(株)オフィシャル代表取締役
広島県広島市出身。女性のためのマネーセミナー大人気講師として、セミナー後の個別相談には、毎回申込みが殺到している。自らの経験をもとにマネーキャリア協会を設立し、100歳まで笑って暮らせる人生計画を日本中に広げるため、日々邁進中。
著書に、『貯金ゼロから1000万円貯める! 大人女子のマネーハック大全』(宝島社)、『成功したい女(ひと)は、「結婚」を捨てなさい』、『貯金0でも、「お金に強い女(ひと)」になれる本』(以上、経済界)。