旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第12回 すべてはシンプルなこと

大洲 早生李
(株)グローバルステージ 代表取締役

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2018年3月1日号に掲載された記事をご紹介します。

2011年、私はグローバルステージを起業しました。自身の「ゼロからイチを作り出す発想力」、「アイデアを形にする行動力」を生かして、当時では珍しいワーキングマザー支援をビジネスモデルとしました。そして今では、海外のローカル女性に着目した仕事創出という新たな試みをスタートさせています。現在に至るまで、私が実践してきたことはいたって単純です。みなさんの行動に少しでも変化が生まれることを願って、2つの事例を紹介します。

シンプルその1、「気づくこと」。先日、私は、アメリカのバブソン大学の女性リーダープログラムを受講しましたが、その際にジェンダーギャップの講義に参加する機会がありました。授業では、女性管理職の課題に向き合うということで、同じ講義に出席していたある投資銀行の女性(マネジャー)のケースに触れました。彼女はマネジャーとしてさらなる地位向上を目指していましたが、周りの男性から昇進競争で差別されていること(セクハラ)に不満を抱いていました。傍からみると、とても優秀でパワフルな女性にみえるのですが・・・、実は彼女には自分のキャリアに対する自信が欠けていたのです。これは「インポスチャー症候群」といい、地位が高いのに自信がない、認めてもらうためにはもっと高い地位にならないといけないという、精神状態のことです。彼女はこの症候群に自分が陥っていることに「気づき」、自信のある自分になろうと決意しました。つまり、「気づき」は彼女の今後の改善につながり、将来の行動に結びつくのです。まずは気づかないことには、何もできないのです。

シンプルその2、「まったく違う動きをすること」。先ほど触れましたが、子どもが3人いながら、海外短期留学へ応募したことは、私にとって今までやったことのない全然違う動きでした。そのおかげで、目からウロコの知識の習得、グローバルな女性たちの課題把握など、かけがえのない経験を得ることができました。ルーティンの変わらない行動は居心地がよいもので、失敗するという不安はないかもしれません。だけれども、何かを変化させたい、何かを得たいと望むのなら、違ったチャレンジをしなければならないのです。

おそらく、世のなかの8割の方、特に女性の多くはこの2つのシンプルな行動について、「私にはできない」、「私には難しい」と思うかもしれません。しかし、たとえば、日常の簡単なことから始めてみてはいかがでしょうか。たとえば、本屋に行って、これまで手に取ったことのない雑誌を立ち読みしてみるということでもよいと思います。それが、気づきを生み出し、変化につながる可能性になり得ます。

最後に、「行動はすべてに勝る」。この言葉はバブソン大学への留学をとおしていただいたものです。悩む時間も大切だけれども、まずは悩んだら行動すべきです。行動しなければ、何も始まらないのです。次のステップに進むために、まずは動いてみませんか。

(「旬刊経理情報」2018年3月1日号より)

大洲 早生李

大洲 早生李(おおす・さおり)
(株)グローバルステージ 代表取締役
慶應義塾大学卒業後、(株)日立製作所に入社。ITコンサルタント、宣伝、広報/IRを経て2008年に双子の子どもの妊娠をきっかけにやむなく退社。子育てしながら働く社会を変えたいとの思いで、フリーランスを経て2011年にマーケティング・コンサルティング会社、(株)グローバルステージを創業。2013年9月に一般社団法人日本ワーキングママ協会を設立。2015年3月より海外市場調査・マーケティング事業としてグローバルママ研究所を設立し、世界30カ国以上で200名以上の海外調査員のネットワークを通じて、企業の海外進出をサポートする調査・マーケティングサービスを展開。2016年に(株)コメ兵の社外取締役に就任。国内外を飛び回る3児の母。