旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』― 第10回 女性の意識と協力の輪(Ring)

中山 麻紀子
(株)チアリングインターナショナル 代表取締役

Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2018年1月1日号に掲載された記事をご紹介します。

15年前、アメリカの4大スポーツの1つ、プロアメリカンフットボールのNFLのチアリーダーオーディションに合格し、3年間、9万人の前での応援の他に、バラエティーチームメンバーとして10カ国以上を訪問(慰問旅行)するといった活動をして参りました。私のチームにはメンバーになる条件の1つとして、「自立している女性である」というものがあり、メンバーには、弁護士、税理士、警官、大手企業の部長など、職業がさまざまでした。オーディションに合格し活動し、1年後に初めて本当の意味でのチームメンバーとして認められた証であるRing(指輪)を手にすることができるのです。決して甘くはない活動をするなか、自立した女性たちと、助け合い、協力し合い、過ごした3年間。そして、その後に続いている信頼関係は、私の今の仕事、人生、情熱に大きく関わっています。

帰国後、日本の社会に復帰した時、「このままでは日本人女性の社会的地位は低いままなのではないか」という焦りや、「どうにか今ある日本の現状を変えていきたい」という強い想いを持つようになりました。そこで、子どもたちに対し、自発的に行動できるようなグローバル教育を推進し、チアを通して、「自信」、「リーダーシップやチームワーク」を学ぶ、チアリングスクールを立ち上げました。スクールを立ち上げてからは11年、そして、起業し、(株)チアリングインターナショナルは今年7期目を迎えました。

会社の経営理念の1つとして女性の社会進出を推進して参りました。特に、ママ従業員向けに制度を作り、働きやすい環境を作りました。そして、7期目を迎えた今、制度や法律が問題なのではなく、現場の意識が世のなかを変えていくと感じています。現場の意識とは、当人の意識だけではなく、上司、取引先、旦那様、ご家族の意識もです。女性の社会進出を目指すのなら、女性たちの意識だけでなく、ライフスタイルから変えていく必要があるということです。

現在の日本は、男女格差指数は上がるどころか、下がっているという現状があり、先進国としては恥ずかしいことになっています。残念なことに、この弊社のママ従業員向けの制度もWorkしたか否かという問いによい結果であったとはいい切れません。

私は、チアを引退した今でもアメリカの元チームメイトや世界で活躍する女性たちとよく話をします。どこでもパーフェクトな状況はありませんが、変えようとする気持ちや志は、日本の女性達よりも強く感じられます。そして、女性達は協力すれば最強になると信じています。

将来、子ども達がグローバルな知識を得るとともに、世界で活躍することで、日本人の働き方やライフスタイルをさらに、見直すことになるでしょう。私たちは、その子ども達が将来、社会に出た時に女性がより働きやすい社会を築いている必要があります。諦めずに、世界水準に達する日本の社会を目指していきたいと思っております。

(「旬刊経理情報」2018年1月1日号より)

中山麻紀子

中山 麻紀子(なかやま・まきこ)
(株)チアリングインターナショナル 代表取締役
2002年に単身渡米し、NFLワシントンレッドスキンズチアリーダーオーディションに合格。2004年シーズンまで3年連続メンバーとして活動、バラエティーチームメンバーとして10カ国以上を周りパフォーマンスする。プロ野球、プロバスケットボールエンターテインメントチームディレクターなどを経て、(株)チアリングインターナショナルを設立。日米リーダーシッププログラム代表者(2008、2009)、Scott M. Johnsonフェロー、NFLワシントンレッドスキンズチアリーダーオーディション審査員(2016、2017)。